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うちの米や野菜を食べていただいた方に「美味しかったよ」と言っていただくことは、生産者としてこれほど嬉しいことはありません。
ですが、「美味しい」と言われた時に少し違和感を感じます。今回はその違和感を文章にしてみます。
確かに、野菜が美味しくなるためにできることは全てやっています。例えば、いろんな種類の肥料を入れたり、土作りを重視したり、おいしいと言われている品種を選んだりなどなど。けど、それって食味の数%くらいしか影響していないんじゃないかと思うのです。
食味の大半は「旬」によって決まるんじゃないかと思ってます。
同じ時期に同じように育てた野菜でも、時期によって味が全然違います。ある野菜が本当に美味しいのはほんの一瞬です。うちの野菜が美味しかったのは、たまたまその方の食べた時がその野菜の旬だったからだと思います。
旬を大切にするためには、種蒔きから収穫までの各作業ごとの適期の見極めをしっかりしてやることです。気候変動が激しいので、適期を見極めることは難しいかぎりですが、そんなことを心掛けながら栽培しています。
先日、外で食事をしました。「美味しいのかor美味しくないのか」「どこが美味しくて、どこが美味しくないのか」について、議論になりました。全員評論家でした。
改善すべき点を指摘することは簡単です。
それに比べ、改善することはとても大変な作業です。どういう手順でやるのか、いつやるのか、どれだけの時間と労力がかかるのか、どれだけの効果があるのかなどを考えて、最善の策を選ばなければなりません。とても大変な作業です。そもそも、今あるやり方を否定すること自体が、大変な作業です。
よりよいモノを作るためには、改善すべき点をたくさん認識して、日々改善していくことが大切です。
一方、毎日そんなことをやってたら、疲れちゃいます。
最近は頭が固くなってきたせいか、後者に偏りがちですが、どうやってバランス良く両立させていくかを考え続けようと思います。
という訳で、これを読んでいただいている方の中に、たに農園についてお気づきの点がありましたら、何なりとご指摘ください。今なら謙虚に受け止められそうです。
最近、「これからどこに向かって行こう」か悩んでる。
どんな農業をやって、どんな生活をしていくのか。一言で農業と言っても、年収1000万の農業と自給自足の家庭菜園的な農業では全然違うように、僕はどんな農業をやっていくんだろうか。
年収1000万を目指すのか、従業員を雇うのか、夫婦2人でそこそこのところを目指すのか、収入よりもゆっくりと暮らすことに重点を置くのか。さらには、野菜を増やしていくのか、米を増やしていくのか、蜂蜜を増やしていくのか、鶏卵をはじめてみるのか、果樹をやってみるのか、レストランや民宿をやってみるのか、加工工場を作ってみるのか、料理教室でもやってみるのか、レシピ本や写真集でも出版してみるのか。
何を目標として、どういう順番で進めていくか。労働力と財源に限りがあるから、そうとう頭を使わないと厳しい道のりになることは、容易に想像できる。学生や会社員の時は、目の前にある課題をその立場に応じたやり方で上手にクリアしていくことが大切だったのに対して、今は遠くのゴールを見据えてそこから逆算していく感じだ。
まずは向かうべき先、つまりはゴールを見据えないと、その道筋すら考えることができない。何も考えずに生活しちゃうと目先の売上を伸ばすことだけに邁進してしまう。それだけじゃ、あんまり面白くなさそうだ。そろそろカミさんに相談してみるか。